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2009/01/12 - ラブレター



ご無沙汰しております。いやぁー、やっと出来上がったよ。『ラブレター』って題で、毎度の様に最近自分が見聞きした物が露骨に登場しています。オタク丸出しな安易な引用の仕方は改めないとなぁと思いつつ、今回はこういう形になりました。

本作では主にクリスティーナの世界(アンドリュー・ワイエス)、The Jackalと炎(Far Cry 2)、そして少女(ジャポニズム)を引用してきています。説明しすぎるのも野暮な事なのだけれども、要はこれらをキーワードとしながら、アメリカを中心とした国際不安を自分なりに捉えてみる、というのがコンセプト。

何だか話がとんでもなく飛躍しているかのように見えますが、自分の中ではワイエスの作品に見た"若き良きアメリカ"のイメージと、『Far Cry 2』で描かれていた権益を巡る泥沼の紛争に、今の国際情勢がオーバーラップして映る。そして今まで親米保守を貫いてきた日本はどうするんだがやという思いがあります。

一方で今のこの国際情勢の把握にはテレビやネットを通じた2次情報に拠るしかないという事実、また人は2次情報も含めて自ら見聞きした範疇でしか世界を認識できないという事実がある。僕の場合、それは今回の絵のワイエスや『Far Cry 2』等がまさに"見聞きした範疇"であり、オタクとして自分なりに世界を認知しようと思ったら、あれらと絡める他リアリティの感じようがない。本作は僕のそんな情けなさを自嘲的に表して見せている部分もある。

但し自分はこの仮想体験と実世界を綯い交ぜにすることによる、世の認知の仕方を否定したくはないと言うか、自らの生き方を肯定する為にも、特にネットやゲームを通じた仮想体験については好意的に捉えたいと思っています。

例えば現在中東で起きているガザ紛争では、イスラエル軍がYoutubeを使って戦況報告するという方法を採っており、またパレスチナ側の映像も同じYoutubeで見ることが出来る。自分は今回の件で動画サイトの報道としての有効性を、非常に強く感じています。残酷なようだけど今回の紛争はある側面ではネットの有効性や将来性を強く証明して見せている。そこに僕はまだ漠然とはしているが、時代の潮流を感じるし、それを自分なりに扱ってみたいという思いもある。だからこうしてHPを運営したり自分の作品を公開したりもしているわけですね。

そのような思いを絵に表してみたのですが、このように対岸の火事の如く悠長に傍観していられるのは、まだ比較的日本は今回の国際不安の煽りが緩やかだからなのかもしれません。とは言え国内でも既に派遣切りや内定取り消し等の諸問題が深刻化してきているし、これからの景気後退も避けられないでしょう。それを感じ取る時が来たら、また新たに描かなければならないかもしれないな。



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