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2010/02/27- Welcome back to Rapture


『BioShock 2』をやっています。07年に発売され大ヒットした『BioShock』の二年半越しの続編。ここ最近は良いゲームが無くてモチベーションが下降中だったのですが、これは面白いですね。続編ながら久々に素直に楽しめています。

但し本作は続編と言ってもビルドアップ的なもので、大胆な変更点や新規性は皆無。全てにおいてあくまでも前作で築いたものを再びなぞっているだけなのですが、ビルドアップの精度は高いしRaptureの世界観は相変わらず魅力的なのでまだまだイケる。前作から二年半経ったにも関わらず流行り廃りが激しいこの業界の中で相変わらず通用するのですから、それだけ完成度が高いんだなぁとしみじみ思いますね。

特に前作では象徴的な敵キャラだったBig Daddyを本作では主人公に起用したのがセンスが良い。Littele Sisterをおんぶしながらズシンズシンと足音を立て、Rivet GunやDrill等の圧倒的火力を用いて敵を薙ぎ倒す、というのを自分で実際に行える。またストーリーもBig DaddyとLittele Sisterの絆をテーマにしていて、新要素もBig SisterにしろLittele Sister防衛戦にしろ、この二人のキャラクターに起因したものが多い。正にBig Daddyなりきりゲームと言えるでしょう。


洋ゲーはそもそもキャラ立ちしている作品自体が少ないのですが、更にそれを前面に打ち出して作品の中心要素にまでしているものは極めて稀。最近だと『Batman: Arkham Asylum』はその少ない例の一つとして挙げられるだろうけど、あれもバットマンという元から存在したキャラクターを忠実に扱っているだけであり、本作の様に全部オリジナルというのは本当に少なくて貴重です。ただその分キャラへの愛着があるかどうかでゲームを楽しめるかどうかも大きく左右されるので、その意味で前作プレイはほぼ必須と言えるでしょう。

勿論キャラを抜きにしてゲームとして見ても中々良い。最初に書いたとおり基本は前作と一緒で、FPSとRPGと箱庭を足して三で割った様なシステムで、銃器と特殊能力のPlasmidsを併用しながら自由に戦っていくデザインに変化はありません。本作はそこに更に新敵キャラや新Plasmidsや幾つかの新システムが追加されていて、前作の問題を穴埋めしつつ良い所を増強している。

幾つか例を挙げると例えば前作にもあった敵のリサーチは、単に敵に近づいて撮るだけだったのが本作ではビデオを回してその間のリサーチ対象への攻撃の種類によって合否が判断されるようになり、良い点数を狙うならばそれだけ多彩な方法で対象をいたぶらなければいけなくなりました。その為より敵に積極的にアプローチしていく必要性が出てきたし、特に今までBig DaddyはLittle Sister奪取の時以外は相手にする意味がなかったのが、このシステムのおかげで普段からちょっかいを出さなければいけなくなったので、憎たらしくも展開に多様性を生んでいて面白い。


他にはBig Sister戦やLittle Sister防衛戦等、受身の戦闘の機会が増えた。今までは基本的に攻め続けるだけだったが立場が正反対に変わり、武器やPlasmidsも今までとは違った視点による使い方を求められるのが新鮮です。これに合わせて武器やPlasmidもトラップ系が増強されていて、前作では使い所が殆ど無かったCyclone Trapを始めとした多くのトラップを仕込んで敵を迎え撃つのが楽しい。また防衛中はトラップだけに頼らずプレイヤーも動き回って戦わなければいけないので、この忙しさが正に前作で第三者として眺めてきたLittle Sisterを護るBig Daddyの様子と一致していて、Big Daddyなりきりゲーとしても良い見せ場になっていますね。

但しBig Sisterは登場パターンが同じ上に機会も少ないので、思ったよりインパクトは無いかな。前情報ではLittle Sisterと行動を共にしている時、うかうかしていると彼女をかっさらわれると聞いていたんだけど、今のところそういった事は無く単にそのステージのLittle Sisterを全員解放した時に現われるのみで、もう少し登場機会増えても良いかなぁと思いますね。ちなみに動きが素早くてBig Daddyよりも手強く感じるBig Sisterだけど、この二体で戦わせてみたら体力をほんの僅かに残してBig Daddyが勝ったので殆ど互角みたいですね。


この様に全体的に印象が良い本作ですが当然幾つかの不満点もあります。と言ってもこれらは殆ど技術的な問題で、まず一つがグラフィックスが前作から全く向上していないので、世界観がとても魅力的とは言え古臭さは否めないという事。寧ろ世界観の魅力に何とか支えられていて、技術的には今の基準だともう並かそれ以下のレベルです。

また全体的に感じられるPC軽視の姿勢も気に掛かる。バグが多かったりワイドスクリーン時のFOVが前作同様フェイクだったりと初歩的な問題もそうだし、操作性もイマイチ洗練されていません。本作は前作と違い武器とPlasmidsの切り替えを別々のキーで行わなければいけなくなったので、これに弾薬の切り替えも含めるとリアルタイムで操作するのはかなり忙しい。コンシューマ版はサークルメニューを採用しているみたいだから、PC版も普通に取り入れれば良いのに。こうした配慮の欠如はベタ移植と言うかPC版を軽視しているとしか思えませんわな。

後はそもそもな殆どスピンオフ同然の内容を正統な続編として出すのは如何なものかとも思うのですが、これはご時世柄仕方がない面もあるかな。『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズもそうでしたが、こういう続編も一回までなら許せるというのが僕のスタンス。当然それも完成度が高いのが絶対条件ですが、創作物ってのは大体一作目よりも勝手を知った二作目の方がよりスマート且つ高い質で作れるもの。しかし例えそれでも二作三作と同じ様なノリで出され続けるともうマンネリとしか思えませんね。このシリーズも本作までは良いけれど、次は一新して挑んでもらいたい。まぁ本作のディレクターも3はあったとしても再びRaptureが舞台になる事は無いんじゃないかと言っているしその辺はあまり危惧しなくても大丈夫かな。

そんな事で結構楽しめている本作。まだ中盤なので引き続き遊んで行きたいと思います。

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