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2010/03/20- PS3デビュー


ついに買ってしまいましたPlaystation 3。ヨドバシポイントが貯まっていたのと、最近結構購買意欲をそそる話題が増えてきたので思い切ってみたのです。それまでは眼中になかったけれど、新型が出てからは好調ですね。ゲームも『Demon's Soul』、『Uncharted 2: Among Thieves』、『Heavy Rain』、『God of War III』辺りは興味あったし、いい加減Blu-rayで映画も見たい。これだけ条件が揃えば一先ず損はしないかなと思ったのです。

という事で今は買いたてで色々と弄りつつ、『Uncharted 2: Among Thieves』をやっています。購入したての段階から既に何も買わずとも出来る事が色々あり、ライバルであるXbox 360とはコンセプトの違いが伺えますね。まだ二三日触っただけなのですが、その違いを一言で表すとゲーム機の360に対しマルチメディア機のPS3か。もっと言うと360はゲームの為の道具として徹しているのに対し、PS3はゲームを中心に据えた上で他のメディアの要素を取り込み、それを用いて新しいライフスタイルの提言を目指しているのかなぁという風に思いました。

この姿勢はPS3がBlu-rayプレイヤーの先駆けだった事でも明らかなわけですが、個人的にこの点を強く感じたのは本体と同梱されている『週刊・トロステーション』と『Playstation Home』の二つのタイトルの存在。前者は『どこでもいっしょ』でお馴染みのキャラ達がゲームやアニメ等のエンタメニュース毎週配信するもので、後者はアバターを使って架空の世界でフレンドとコミュニケーションしたり映画を見たりゲームとの連動企画に参加したりする、簡単な『Second Life』みたいなもの。このどちらにも共通して言えるのは、ゲーム的なインターフェイスを用いてゲーム以外のメディアを体感する仕掛けになっているという事でしょう。


個々の要素だけを見れば、360にも似たようなものはないわけではありません。新作の特集番組だとかビデオマーケットプレースだとかは一応ある。しかしそれはあくまでもゲームの話題やそれ関連の映像でしかなかったり、しかしその割には番組はあくまでも番組として独立していてそこにゲーム的インターフェイスが介在する事はなかった。PS3と比べてゲームとそれ以外の割り切りははっきりしています。

ゲームには興味あるけどそれ以外には興味ない、という人に対してはこれは中々の訴求力があるのではないかと思います。要は苦いコーヒーもミルク入れればおいしく頂けるようなものでしょう。実際僕も360の方の特集は一回か二回見たくらいだったけど、『週刊・トロステーション』はバックナンバーまで結構見てしまっている。また『週刊・トロステーション』と『Playstation Home』双方とも、ニュースを見たりイベントに参加する事でアイテムがもらえるなど、ゲーム的な報酬システムが組み込まれているところもまぁ抜かりは無い。


ただ逆に言うとゲームとそれ以外のメディアの中間を狙った作りの分、どちらに取っても中途半端で持続性が無さそうな気もしますね。例えば『週刊・トロステーション』を通じて報道されている対象それ自体に興味を持った場合、その情報を収集する意味ではこれよりも遥かに効率的なものは幾らでもある。他の競合しているメディアとの優位性がいまいち確立できていないのです。また報道されている情報に興味を持てない人にとっては、そこに組み込まれているゲーム性こそが見続ける動機になるわけですが、これは本格的なゲームと比べると流石に簡素過ぎる。しかもそもそもPS3の本領はその本格的なゲームを遊ぶ事にあるわけですから、わざわざこれらをやる必然性が無い。結局どちらに転んでも心を長く掴んでくれそうな要素が見当たらない。

そしておまけにインターフェイスが使い辛い。『週刊・トロステーション』にしろ『Playstation Home』にしろ操作が細々としている上にその説明が十分表示されないので面倒くさいの何の。特に『Playstation Home』はストリーミング技術が貧弱で、マップ上のスクリーンに表示される動画は全て一旦ダウンロードしきらないと表示されない仕様だし、他のプレイヤーのアバターもマップ入場時は読み込まれず、2分くらいずっと半透明人間で表示され続けるショボさ。メニューも読み込み中と表示されて暫く先に進めない時があって本当酷い。こういう事も含めてやはり持続性がない。インターフェイスのショボさは使い続ける程辛く感じてくるものですから、段々とフラストレーションが溜まっていって、臨界点超えた所で「他のもっと便利なものにするから良いや」って事になってしまうのです。


『週刊・トロステーション』と『Playstation Home』を例に挙げて話を進めましたが、根本を辿るとこれはPS3の"マルチメディアの統合プラットフォーム"という方向性そのものの問題でもあるのです。それは起動時のメニュー画面を見てもわかる。PS3のメニューのインターフェイスはPSPのスタイルを基本的に引き継いでおり、ゲーム、音楽、写真、映像等の大項目が横に連なっていて、それらを選択すると更に縦に小項目が出てくる様になっています。この中でゲームは数ある大項目の中の一つでしかなく、その事からもPS3がマルチメディア機器として己の立ち位置を定めているのが伺えますが、実際これがまた結構使い辛い。


まず全体的に目的の項目に行くまでに、大項目を選択する為の横移動と、小項目を選択する為の縦移動の2アクションをしなければいけないのが面倒臭い。また近接する項目の情報を一緒に映してくれないので、本当に目当ての項目そのものまで行かないといけないのが尚の事面倒だし、更には表示のレスポンスがここも悪く、折角目当ての項目まで行っても読み込み中と表示されるとげんなりする。他には小項目は全て縦にリスト化されていくため、映画やゲームを購入するなどして項目が増えていくと、リストもどんどん長大化してしまう。特にゲームのトロフィー表示が顕著で、『Uncharted 2: Among Thieves』で48個のトロフィーが縦一列で表示された時には眩暈がした。あれもこれも平等に扱おうとした結果、個々の要素に応じて大きく見せたり小さく見せたりといった柔軟なデザインが出来ていません。


その点に関して360の方は、完全にゲームの為の道具に徹している分スマートです。まず起動して真っ先に表示されるのが現在ドライブに入っているゲームの項目なので、ボタン一つ押すだけですぐゲームに入れる。また小項目は全てサムネイルでその内容が絵解きされて一列に表示されるので、最新ニュースは大項目をざっと流すだけで大体5秒もあれば目視できる。その中で気を引くものがあれば改めて小項目の移動をすれば良い。おまけにレスポンスも早いので、大項目を移る度に読み込みが入る事はまずない。その反面動画再生機能や音楽再生機能等は単なる小項目の一つとして隅っこに追いやられており、あくまでもゲーム機としての側面を前面に出し、良く使う項目から順に手前に大きく見せている。合理的な設計です。

僕は別に360のインターフェイスデザインが好きなわけではないし、寧ろあまり品が無いなと思っているんだけど、インターフェイスにとって品があるなしは二の次で、まずは使い易くて何ぼですから。だからPS3は幾ら品に対する拘りが360よりかは感じられても、それで使い辛いのでは意味が無い。じゃあどうすれば良いのかというと、単純に使い易くすれば良い。『週刊・トロステーション』と『Playstation Home』はインターフェイスだけの問題ではないので全てが解決されるわけではありませんが、それでも気持ちが他のものに移る要因の何パーセントかは減らせる。

まずレスポンスを良くして読み込み中と表示されるような事態を無くす事。これは最低限の問題です。他には特定のソフトの特定の機能にダイレクトに飛べたりそれをお気に入り化する機能が欲しい。『週刊・トロステーション』にしろ『Playstation Home』にしろゲーム以外の要素がここまで入ってくると、例えばニュースだけ見たいとか、シアターの上映作品だけ見たいとかいう選り好みが出てくる。しかし現在では一々今起動しているゲームを終了して一旦メニューに戻って、目当ての機能の入ったゲームを立ち上げてという順序を取らなければならずこれがとても面倒臭い。PCゲームでは既に大分昔から一つのゲームでもシングルプレイとマルチプレイでショートカットを分けるという事をしていたのだから、それをもっと応用すれば良い。

後は特定のゲームやアニメのニュースの見ている時に、そのままその商品を購入したり予約出来るシステムを作る。『Playstation Home』の場合は、各ゲームに因んだラウンジに購入コーナーみたいな所が設置されていて、そこでグッズを買えたりしますがまだまだ限定的。『週刊・トロステーション』に至ってはそういう事は全く出来ず、一旦終了してPlaystation Storeを立ち上げて検索するという手続きが必要だし、パッケージ商品の場合はそれも無理。これを何時でも何処でも目当ての作品をワンボタンで購入出来る仕組みを作れば結構いけそうな気がするんだよなぁ。


ニコニコ動画では既にニコニコ市場という形で似た機能が実装されていますが、家庭用ゲーム機というPCよりも閉鎖されていて目移りするものが少ない空間で同じ事をすれば、より効果的なのではないでしょうか。また『THE iDOLM@STER』は、360標準のマーケットプレースを介さず、カタログというゲーム中から直接DLCを購入できるシステムを作った事で成功に繋がった。同じように『週刊トロ・ステーション』でゲームのニュースを見て、興味が沸いてきたから見ている途中で購入して、見終わったらダウンロード完了していてすぐ遊べるとなれば無駄がないじゃないですか。それにSonyはPSP Goでコンシューマにおけるゲームのダウンロード販売の本格的活用を先陣を切って挑戦し始めたのですから、その波をPS3にも波及させて、それに合わせて効率的に買わせる仕組みを作れば良いのですよ。

"マルチメディアの統合プラットフォーム"、"新しいライフスタイルの提言"というコンセプトは聞く分には大層ですが、実際には軸が定まっておらず実現出来ているとは言い難い。ゲームの為のハードとしては360の方が一貫しているし、何でも出来るという点ではPCの方が遥かに自由度が高い。そんな中でPS3は色々と出来つつもある程度限定されていているプラットフォームであり、だからこそその出来る事はとても簡単で、効率的で、リーズナブルでなければいけないんじゃないんでしょうか。

以上がPS3をざっと触って感じた事です。まだまだ見てないところはあるだろうし、これからPlaystation Store等も本格的に使ってみて、それで新たに分かった事があればまた書きたいと思います。

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