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2010/12/23- Look Back in Angerまとめ

Screenshot of NaBaBa’s Digital Work Collection “Look Back in Anger” Release Commemoration UST / Deform by JNTHED

配信お疲れ様でした。今年の7月からコツコツとやっていた企画だったので、こうしてようやく公開できて実に感慨深い。やる事の多くが始めてだったし、世に売り出す物としては初のデビュー作でもある。それと同時にこれまでの総決算でもあり、図らずも大学を卒業するタイミングにも重なり、色々な意味で僕にとって節目となる企画でした。

画集にしろ配信にしろ学んだ事は多いし、また今後の課題も多いです。毎回作品を完成させた後はそうなのですが、今回も反省点や今後の方針についてあーでもないこーでもないと考えを募らせています。こういう時に新作のアイディアが閃くので有意義である一方、作品を完成させた快感というのは本当直後の一瞬だけで、すぐ醒めてまたもんもんとし始めてしまうのは我ながら勿体無いなぁと思いますね。まぁ男の快楽とはそういうものです。

考え事の内容はTwitterで断片的に吐露しているし、今後も暫くはそうしていくと思うので聞きたい人はそちらを追っていただくとして、今回ここで触れるのは一点だけ。消費という行為に対する、これまでの自分のスタンスとこれからの自分の矛盾についてです。

あちこちで言っている様に、僕の制作は怒りが大きな原動力になっています。その怒りの種類は様々なのですが、消費に対する怒りもその一つ。消費は資本主義における絶対的な正義です。買い支えって言葉があるくらいで、皆バンバン消費すれば巡り巡って皆が消費した恩恵が個々人のお給料という形で現われ、より一層の消費を促していく、止まる事のない実にハイテンションな社会です。

エンターテイメント業界もその例に漏れませんが、しかしエンターテイメントは物の良し悪しが消費者個々人の主観による計り辛いもので、他の例えば生活必需品の業界だとかと比べると、良し悪しと売れる売れないがイコールの関係で結びつきにくい。よって自分から見て良作でも全く生まれないものが出てきたり、逆に自分にとってクソ同然のものでも売れまくるという事態が発生し易い分野です。

とは言え皆機会は均等に与えられているわけで、その中でマーケティングだとかロビー活動だとかいったありとあらゆる政治的手段を用いて売りに行くのは当然であり、逆にそういう広範囲的な努力をしない根無し草は淘汰されて当然である。また良し悪しと売れるか否かは違うと言う主張は、この様な広範囲的な努力を肯定できず、作品という矮小な単位でしかものを推し量れない愚か者の考えである。

市場原理主義的に考えればこれは当然の事であり、pixivやゲーム業界等、今の日本のエンターテイメント界はこのルールに対して至極実直です。でもそれって哀しくない?と僕の主観は訴えるわけです。即物的なその時売れたかどうかが価値基準の全てなのか。或いはどんなありきたりな内容でも、売れさえすればそれで良いのか。それは違う!と僕の主観は訴えるわけです。

今名作と呼ばれているものが、発表当時の時点は散々な売り上げだった例は少なくありません。打ち切られたり、賛否両論を巻き起こしたり、先程の市場原理主義的な考えに基づいたら落伍者同然の境遇から成り上がったのです。そしてそういう作品の存在や、それらが成り上がれるという希望が、その分野の多様性や将来性を保障していたのではないかと思うのです。

その希望を信じて物づくりを続けるのが表現者としてあるべき姿だと僕は思っているし、そういう者が報われる余裕が市場にはあるべきだと思っている。またマジョリティの役目とは自らが儲かる以外に、市場を盛り上げマイノリティが居られる余裕を生み出していく事にあると思っている。

逆に市場の余裕を生み出すリスクを負わないばかりか寧ろ食いつぶし、自らの日銭を確保するだけに腐心するマジョリティは僕から言わせれば詐欺師です。未だ見ぬ日の目を期待するマイノリティを欺いているし、更に価値あるものを将来に求める消費者を欺いているし、市場の縮小を招くという点で自らをも欺いている。日本のゲーム業界は完全にそういう状態になっているし、pixivやニコニコ動画もコンテンツ供給側は無料奉仕が当たり前だから問題が顕在化していないだけで、構造的にはほぼ一緒です。

コンテンツ供給者、特にマイノリティが全くと言って良いほど報われない。そんな消費の在り方おかしいだろボケがーー!!と言わずにはいられない。これが僕の消費に対する怒りなのです。そしてこの様な怒りを作品に詰め込み、それを少しでも多くの人に伝播しようとしてきたのが今までの僕なのです。

ところがです。一年くらい前からこうした自らの姿勢にある疑問が浮かび上がってくる様になりました。僕はマイノリティに目を向けろー!と作品の中で訴えるわけだけど、その作品を見てもらうためにTwitterで告知するとか、HPに解説文載せるとかして露出を多くし付加価値をつけていくのは、自分が嫌うマジョリティの政治的手段と同種なのではないか、という疑問です。

いやいやこの程度では政治もクソもないし、そもそも政治自体を嫌うのはマイノリティの典型的な欠点だ。寧ろ良い政治はバンバンするべきなのだ!という風に方針を改めて活動をしていたのがここ一年の僕。そのお陰でJNTさんや虎硬さんと交友を持つようになったし、今回の電子書籍の企画にも関わるようになったのです。約一年前の『Message』のライブで言った「俺以外の人間は全員敵だ!」という主張とはえらい違いです。

しかし今回の電子書籍の企画を一通り終えて、今度は良い政治と悪い政治の差が良く分からなくなってきている。例えば僕は今回の電子書籍は相当気合入れて作ったし、また自信もある。それを一人でも多くの人に見てもらいたいと思ったから、自分が出来る範囲でプロモーション方法についても色々考えた。その結果がこの間のUST配信ですね。少なくともここまでは悪くない。

だがJNTさんや虎硬さん両氏をゲストに呼んだのはどうだろうか。トーク主体の番組になるから、トーク慣れしているお二人を呼べば盛り上がるに違いないというポジティブな判断があった一方、自分一人だと宣伝効果は大して無いので有名な二人に来て頂いたという面もなくは無い。露悪的な言い方をすれば二人をダシとして利用したのだ、というネガティブな判断があったのではないかと問われても、否定はできません。

それって自分が嫌う詐欺なんじゃないの?僕は二人が本来持っている価値を自身の価値に摩り替えようとした。実際当日の配信では常に220人という、『Messeage』の時の100人と比べて100人以上多くの人が来ていました。そのプラス100人がJNT、虎硬ルートからのお客さんだったとしたら、僕は彼らを騙しているのではないか?そう思わずにはいられないのです。

先程も言ったとおり今回の一連の行為は全て、自分の電子書籍を見てもらいたいという一心によるものです。これは本当です。しかし僕とほぼ同じ構図で、詐欺と認められた事例は大小問わず無数にある。そしてその場合でも彼らは僕の様に「全てはお客様の為」という風に言うのです。更には本人は本気で世の為人の為と思い、自身を詐欺師などとは微塵も思っていない真性もいる。今回の僕もそうかもしれない。この詐欺師か否かを個人で判断するのは、他者でも自分自身でさえも難しい。

だからこそ僕は皆に、「僕を信じるな!」と言いたい。僕の事例に限らず消費社会であるこの世の中には、少しでも消費してもらおうとあの手この手で人を呼び込もうとする輩が沢山居る。人の無知や無垢、或いは惰性につけこむ詐欺師達。しかも本来業界を牽引すべきマジョリティが詐欺行為に走り、マイノリティを翻弄する。そしてこれに対抗するには全てを信じず、疑って疑って徹底的に疑ってあらゆる方法を行使して、物事の価値を自分で判断していくしかない。だからこそ僕は皆に、「僕を信じるな!」と言いたい。

本来であればこのような事をいう事自体がリスキーであり矛盾です。疑われた末に売り上げが落ちてしまうかもしれないのだから。しかも今回の企画は僕一人によるものではなく、実質的なリスクは僕に協力してくれている人が負う形になっている。それを考えても僕の一存で「僕を信じるな!」何て事いえないはずなのです。

それでも僕は言いたい。何故なら人を騙してまで買わせるのが嫌だから。そしてこのようなコンプライアンスを意識し消費者に健全な価値の示唆を与えない供給者が、その業界を駄目にしていると信じているから。良いものは正々堂々と買い、悪いものは正々堂々と買わない。僕の声が届く範囲は僅かですが、それでもこの点はしっかりと主張したい。

このようなことを言うのはもう一つの理由がある。来年度から僕はゲーム業界に入る予定ですが、日本のゲーム業界こそ今まで書いてきた欺瞞の温床です。恐らく今回僕が感じたものとは遥かに次元の違う詐欺が横行し、遥かに次元の違うコンプライアンスが圧し掛かってくる事でしょう。でもそれが今の日本のゲームを駄目にしている理由の一つだと思っているし、僕は本気でそれを是正したい。だからこそゲーム業界に入る道を僕は選んだ。しかしこの場で本心が言えない程度では、業界の是正もできっこないだろう。だからこそ僕は皆に、「僕を信じるな!」と言いたい。

幸いにもゲーム業界に関しては目指すべき指標がハッキリしている。一つが海外のゲーム業界で、もう一つが稲船敬二さんだ。稲船さんの歯に衣着せぬ物言いはネットで相当批判されたし、カプコンとの衝突も絶えずに結局退社されてしまった。しかし今日のゲーム業界で、彼ほど自分自身の言葉を持っていた人は居ただろうか。時には自社の製品でさせ駄目な物は駄目と言い切る、コンプライアンスではなく自分の本心からの価値を説く人間がもっと必要だ。

会社に入ってから自分がどうなるかは分からない。少なくとも僕の知り合いは皆、会社に入ってから人が変わってしまったように思える。変化を拒む事は自らの成長を拒む事と言うけれど、それでも曲げずに貫き通す信念が必要だ。自分を好いてくれている人、そして未来の自分に向けて、ここに今の僕の信念を書き記しておきたい。



配信中にリクエストのあったBGMのアルバムを紹介します。また僕の旧作のコンセプトを読みたいという人は、Galleryの各作品のサムネイルをクリックしてください。本HPで記事を書いた作品に関しては、その記事へ飛べるようにしておきました。またGalleryページから飛べないものでも、例えば落書きに関する記事は結構あるので、それも読みたいという人はDialyページの過去ログを漁ってください。

Machinarium Soundtrack Grand Theft Auto IV: Vladivostok FM
Café Sputnik Soundtrip Russia - St. Petersburg
その他


Многоточие - На сердце боль.

Bumer Soundtrack - Diman - Shpana

Борис Мокроусов - Море шумит
Red Dead Redemption Original Soundtrack

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