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2011/05/15- Still Alive


ずいぶんお久しぶりですね。お元気でしたか?NaBaBaです。二ヶ月以上も放置していて面目ないというか、最早ここを見ている人が居るのかどうかすら怪しいくらい閑古鳥が鳴いていますが、一応生きています。寧ろ毎日生を実感せざるを得ないくらい多忙に追われています。

えーというのも私大学を卒業し、今年の4月から社会人として某大手ゲーム会社で働いております。バイトという形で先行して働いていた分も含めると3月からですか。念願叶ってゲーム業界に入り、朝から晩までゲーム制作で大変楽しいのですが、一方で遊ぶ暇が全く無くなってしまったという皮肉な事態に見舞われています。更新する暇もネタも無いというのが、ここ数ヶ月の状況でした。

しかしながら「どうしてもやりてぇ!」という一本があると、人は状況に関わらずやってしまうものなのですね。そうです。『Portal 2』です。07年に発売された『Portal』は個人的にとても気に入っているタイトルの一つであり、また開発スタジオであるValveにとって4年ぶりのシングルプレイゲームという事で結構期待していたのですよ。そんな本作のプレイ日記で、更新を再開したいと思います。ちなみに現状COOPは未プレイなのでシングルのみの評価ですがご了承の程を。


まずそもそも前作の『Portal』は、非常に続編を作り辛い作品だったと思います。前作はワープホールを使った立体的なパズル。謎だらけのストーリー等、目新しさやサプライズに満ちていました。ただ逆に言えばそれが全てのゲームでもあり、二度目は通用しないタイプの典型でもありました。

それでも尚二度目に挑戦した『Portal 2』ですが、よりストーリー体験型のゲーム性に舵を切る事で、前作との差を出そうとした様です。前作のストーリーは評価が高いとは言え、殆どアイディア一本勝負の簡素なものでした。まぁそこが良い所なののですが、今回はキャラクター、世界観、演出の三点が大幅に強化され、物語のスケールも一気に大きくなっています。

先に良い所を言うと、スケールを拡げつつも最近のゲームの様に単純に派手にする路線は限りなく避け、前作のストイックさを引き継いでいるのは好印象。例えばゲームの舞台は前作同様首尾一貫して研究施設のみなのですが、それを「崩壊後の研究施設」「復旧途中の研究施設」「遥か昔の研究施設」といった様に細かくシチュエーションを分け、そのディテールを細かく表現する事でバラエティを出しています。


同様に登場キャラクターもまた、新登場はAIスフィアのWheatley位で、他は前作と変わりません。それでもそれぞれのキャラクター性をより深く描く事で物語に広がりを持たせています。こうした単純な物量に頼らない表現は近年の大作ゲームらしからぬもので、特に本作は極まっており、そこから得られる体験はとても異質で、且つ魅力的。

但し前作の謎だらけのストーリーと、それ想像する楽しさが無くなってしまったのは大きなマイナス。前作で謎の答えが明らかになってしまっているので同じ事は出来ないとは言え、本作ではそこに更なる説明をあれこれ加えていて流石に蛇足が過ぎる。

結局の所『Portal』のストーリーの魅力というのは兎に角謎である事、その謎の正体をプレイヤーに想像させるのが巧みだった事に尽きると思います。勿論想像させた後での答の出し方まで最高に決まっていたのですが、その答えに至るまでプレイヤーのモチベーションを維持させた、謎掛けの仕方の方こそが本質でしょう。

そう考えると『Portal 2』は云わば答えの説明を延々とやっている様なものであり、想像させるどころかその余地を次々と奪ってしまっています。その説明も想像の楽しさに勝っていれば良いのだけれど、残念ながら本作はそこまでには至っていない。というかそれを出来ている作品って見たことが無い。ここに謎であること自体が魅力な作品の続編を作る難しさがありますね。


一方パズルはストーリーが重視された分相対的に比重は低め。勿論本作はパズルゲームである事には変わりはないのですが、比率的ストーリーの合間にパズルがあるという感じで、前作とは配分が逆になっています。

それでもパズル自体が面白ければ構わないのですが、問題は前作程面白く無いという事。まず難易度が明らかに下がっている。更に新ギミックがやたらと多く、今あるギミックを使い込まないうちにすぐ新しいギミックが出てきて、その都度難易度がリセットされて、全体の難易度が中々上がってくれません。当然達成感が薄く、僕は終盤を除いてパズル自体にモチベーションを見出せませんでした。

このパズルのバリエーション過多とプレイ全体の散漫化は、舞台やキャラクターの作りに感じたストイックさとは真逆です。更に言うと前作の極まったシンプルさとも全く逆。流石に前作で出た仕掛けはやり尽くされているので、多少は増やす必要性はあるだろうけど、今回は多すぎです。もう少し絞ってその分個々を突き詰めた方が良いと個人的には思います。そういうストイックさが『Portal』シリーズの魅力なのですから。


纏めると、残念ながら『Portal 2』は初代『Portal』を超える事は出来なかったという事になります。まぁ前作はプレイ時間3~4時間の小作品だったのでフルプライスの本作とは条件が同一でないところはあります。また前作は皆がノーガードだった所に一発ネタを打ち込んで見事決まったわけですが、本作は皆が準備万端な所に前回と基本同じ手を打ち込まなければいけないというのも、とても厳しい条件。

そういう一際厳しい条件の中での評価なので、本作の出来自体は決して悪いわけではありません。先程駄目だししたストーリーも同世代のゲームと比較したら水準は遥かに超えており、またここまで書かなかったけれどもアートワークも超一流でValveクオリティが如何なく発揮されています。それでもパズルはもう少しどうにかならなかったのかなぁとは思いますが、2011年のゲームとしてはトップクラスなのは間違いない。

幸いにもValveのゲームにはオーディオコメンタリーがついているので、それで作り手の意図がある程度理解できるかもしれないので、勉強の意味も込めてもう一周遊びたいところです。また冒頭で触れたとおり今回はシングルのみの評価なので、COOPをやるとまた評価は変わるでしょう。特にパズルはCOOPだと大分難しくなると聞くので、今回の不満も解消されるかもしれません。COOPをクリア次第、また記事を書きたいと思います。何時になるかは定かではありませんが・・・ なるべく早く・・・

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