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2009/01/18 - 真性ハリウッド型ゲーム



『Gears of War 2』をやっています。といってももう終盤なのですが、本作はPCゲーマーとコンソールの確執の象徴のようなゲームですね。カバーシステムに軸足を置いたシューティングの設計がコンソールでは革新的なシステムとの支持を得てPCへの移植も強く期待されていましたが、いざ移植されてみるとPCで遊ぶには余りにもヌルくて大味な作りと受け止められ、コアゲーマー層を中心に予想外の不評を買っていました。

かく言う自分もPCでやった前作は好意的に受け止めていませんが、本作はあれからより自らの立ち位置を明確にしたようで、好き嫌いは別としてこの作品の役割というものには納得できた気がします。

本作って要するに作品内容そのものから開発工程、マーケティングに至るまでを徹底的にハリウッド型大衆娯楽作品の文法にはめ込んだゲームなわけです。馬鹿丸出しなストーリープロット、メインになるものを用意しながらも適度に繋ぎやアレンジを加えた堅実なゲーム構成、そして所々で感じるちょっと新しいかもと思わせる部分も含めて、全てマーケティング至上という観点で意図的に仕込まれている。だから実は本気でゲーム史に残るような新しさをやる気なんて毛頭ないだろうし、知能指数が低いように見えるストーリーや演出も計算でやっている。兎に角売れるかどうかが全てで、それ以外の情熱は持ち合わせていないようです。

『Crysis』を筆頭にした、他の見た目ハリウッド臭いゲームは、その中にハリウッドへの尊敬だとかはたまたオタク趣味的な別の情熱も持ち合わせているものですが、1から10まで商売根性のみで作られ、しかもその目論見が成功しているってのは今のところ『Gears of War 2』だけなんじゃないか。そうなると『Gears of War 2』こそ真性ハリウッド型ゲームと呼べるのかも。

また大衆に擦り寄っている分親しみやすいのは確かで、その間口の広さからこの手のゲームの初心者向けの作品としては最適なのでしょう。逆にそこがコアゲーマーの人々にとっては虫の好かない所なのでしょうが、僕としてはこういうゲームも市場の中に必要だという認識でいます。但しこのゲームを遊んだ人には、これ以外の"別の情熱"を強く持ち合わせた作品の方も手にとって欲しいなとは思いますが。

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