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2009/01/26 - あんまりいじめちゃかわいそうだよ



『Call of Duty: World at War』をプレイ中です。期待は全然していなかったのですが、これが存外に面白い。

始めに断っておくと僕は元々『Call of Duty』シリーズが嫌いです。もっと言うとWWIIもののFPSが好きではなく、このジャンルのFPSは何故かクリプト多重によるレールライドアクションと化している物が多く、それが僕には決定的に肌に合わない。

この最右翼に『Call of Duty』シリーズがあるわけで、これはWWIIではないけれど『Call of Duty 4: Modern Warfare』は本当に酷かった。演出最優先でプレイアビリティを犠牲にし、その演出意図にそぐわない行為をするプレイヤーは容赦なく殺す。何かもうこれなら自分で操作せずに開発者の理想のプレイを映像に収めてそれを眺めるだけでいいじゃんと思いましたね。

僕にとっては『Call of Duty』シリーズほど、個人的な評価と世間一般のそれが乖離したゲームはない。一昨年の『Call of Duty 4: Modern Warfare』はそれまでの経験から当初はスルーを決め込んでいたのですが、余りにも評価が高いことと知人が薦めてきたので意を決してやってみたものですが、やっぱり駄目だった。

面白さがちっともわからん自分を悔しく思い、猛烈にイライラしながらも『Call of Duty 4』は最終的に最高難易度のVeteranも含めて4周はしましたが、結局一度も面白いとは思えなかった。この時の苦痛は心的外傷となって今も僕を苦しめ続けています。

そんなわけで本作も期待なんぞ全くしていなかったのですが、いちおー大作だからという事と、日本人として無視はできない太平洋戦争が舞台である事と、やたらInfinity Wardと比較されては邪険に扱われ気味だったTreyarchを不憫に思った同情心から購入だけはしていました。

ところがどっこい、これが中々面白いんですよ。厳密には始めの方は演出が下手っぴになっただけで変わらんなと思っていたのでしたが、進めて行くうちに段々と面白いという気持ちが強まってくる。特にロシア編に入ってから印象がぐっと良くなった。

結論から言うとそれは『Call of Duty』臭さ薄れているからという事になると思います。確かに見た目や演出は表面上『Call of Duty 4』を踏襲しているし、ガラッと変わったわけではないので、やはりこのシリーズ特有のストレスを感じる場面も少なくは無い。しかしスクリプト多様の緩和とプレイヤーの自主性の尊重という方向性でゲームシステムが再調整されているのは実に有難いです。

各戦闘では複数の戦い方というか戦術の多様性を促す作りになっており、ルートが2つ以上用意されていたり回り込みが出来るようになっていたり、或いは設置砲台を使って一気に蹴散らせるようになっていたりと選択の余地があります。そしてそれらは別にやってもやらなくても良いよという作りになっているのが一番重要。プレイヤーの操作行為を演出のトリガーとしてではなく、その行為性そのものの面白さに力点を置きなおしたのを僕は評価したい。

逆に一般的に『Call of Duty 4』で高く評価されていたストーリー面は後退してしまっていますね。全体的に急ぎ足な上出来事が散発的で脈絡がなく、1つの物語としての抵抗感が無い。

テーマも従来のようなヒロイズムからの脱却、残酷さや復讐といった暗部に焦点を当てようとしたところまでは良いのですが、ただ結局の所善玉の連合軍と、悪役の枢軸軍という今までの通りの善悪二元論でまとめてしまっているので、寧ろ正義の為ならどんな残虐行為も許されるというマキャベリズムに見えてしまう。それじゃまずいんじゃないの。いや、寧ろあえてそういう風に見えるようにして、現代アメリカの覇権主義を皮肉っているのか?

まぁこれは僕が深読みしすぎているだけで、実際は単に見せ方が下手糞なだけでしょう。ただそうであるということは、そこをしっかりさせればこのままの方向性でもゲーム性とストーリー性は両立できるんじゃないでしょうか。そうすればこのシリーズももう一皮向けるかも。といってもそれは僕個人にとってのものであって、多くの『Call of Duty』シリーズファンにとってはどうなのかは分かりませんが・・・

ただ本作が発売後も邪険に扱われている所や、開発スタジオが他所者であるところからして、この流れが次に続くとは思えないのが残念な所だなぁ。もっとTreyarchは評価されて良いはず。

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