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2009/02/03 - スピードにノれる


『Mirror's Edge』やっています。チャプター3クリアした所。面白いです。この特徴的なビジュアルだけでイチコロな僕ですが、それを差し引いても面白い。

本作は近年では滅多にない覚えゲー+練習ゲーで、その特性からチャプターを立て続きに進めていくのではなく、1つ終わったらそこを何度も繰り返しこなしています。そして僕が面白いと言っている大半の部分はこの2周目以降に関して。

1周目のプレイフィーリングは目の前にある課題の解法を見つけていきながら進めて行く、順当なアドベンチャーゲームといった感じ。但しこのゲームは常に急かされるような状況が続くので、じっくり考えるのではなく何度も死を連発しながら当たりを見つけていくというやり方が少々テンポが悪い。これはこれで面白くないわけじゃないのですが、まぁ特筆すべきものでもない。

寧ろ一通りルートを掴んだ2周目からが本番で、如何にミスせずスピードを殺さず走破していくかに挑戦するのが凄く面白い。単にクリアするだけではなく、ミス無く進めていくとなるとより深いマップの理解が必要になってくるし、所々に潜んでいる短縮ルートをものにするには応用的なスキルが求められる。

当然ここでもトライアンドエラーの繰り返しになるのですが、その果てで流れるような操作が出来るようになった時のノッている感が非常に気持ち良い。抽象的な言い回しで悪いのですが、グルーヴ感とでも言うんですか。1ステージ10分未満のその短い時間の中で、指先に全神経集中させて技を紡いでいくそのリズムに脳内麻薬がほどばしる。

このスキルの習熟と指先に全神経集中させる感覚は、近年のシングルプレイのFPSでは珍しい。ましてやそれを作品の面白さの根幹に据えようというのは本当稀。

確かに冷静に考えればこの面白さは別に本作に限った話ではなく、どの作品にも内在しているもの。シングルプレイに限らなければ、マルチのFPSでは突き詰めて試合に挑んでいけば得られるものかもしれないし(とは言え僕のマルチプレイ遍歴はUT99でほぼストップしているのであてにしないで欲しい)、シングルでもスピードランというそのものズバリな遊び方もある。ただそれらはいずれも対象のゲームに長く深く付き合わなければ得られないものであって、『Mirror's Edge』はそれを一般的なゲームプレイの範疇まで引き下げてきたのが凄いと思う。

そしてそれを実現させるためのメカニズムの作りこみも大変良い。本作は結局主観視点のアスレチックのやり難さを克服していないじゃないかと見る向きもあるけどそれは大きな間違いで、寧ろこれだけアクロバティックな要素を詰め込みながら、この程度のトライアンドエラーの回数に抑えたのを評価すべき。

例えば落とし穴の跳び越しなんてのはFPSじゃ鬼門中の鬼門なわけで、特に初代『Half - Life』にはそれで相当苦しめられた方も多いかと思いますが、本作はそれを落とし穴の大きさを緩めにするという方法で対処しています。つまり足場がなくなる限界ギリギリでジャンプしないと届かないシビアな距離にするのではなく、ある程度手前からジャンプしても届くようにゆとりをもって調整してある。当然より早く進む為にはギリギリからジャンプした方がいいのですが、それは更に挑戦したい人向けの領域にしておいて、軽く遊ぶ程度でも問題にはならないように対策してある。本作はそんな地味な部分で今までのFPSアスレチックの問題点を1つ1つ潰しており、まぁそれでも限界はあるけどかなり善処しているように思えます。

またそれでもミスする場合には、ロードの時間を短くする、チェックポイントの感覚を短くするという方法で対応していて兎に角親切。これが無かったら一瞬でストレス溜まって精神が崩壊してしまいそうですが(それでも僕は一回物凄く腹立って携帯を壁に投げつけて壊してしまったが)、それを親切な配慮が緩和剤として相当効果的に働いている。開発者はこの地味な部分の為に何千回と飛び降りまくったんだろうなぁ。そう思うと落とし穴の大きさ1つで物凄く感動してしまう。

いやー褒めすぎかね?でもコレは良いですよ。かなり良い。『Far Cry 2』の妖怪さには流石に敵わないですが、これを2008年中に遊べていたらかなり僕の中で上位に食い込んでいたはず。

ビジュアルだとか他にも言いたいことは沢山あるのですが、それを書き始めるともっと長くなりそうなので今回はここまでにしておきます。いやーでもこれは良いですよ。

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