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2009/02/04 - センスの力だよ!


引き続き『Mirror's Edge』プレイ中。チャプター5をクリアした所で、何度もリプレイしながらなので牛歩のような進行ペース。クリアだけ目指したら5,6時間とかなり短いようですが、それはりプレイしてもらうことを前提にしているからなのでしょう。変にボリュームを出そうと中身スカスカのマップを沢山詰め込むよりも断然まし。『Left 4 Dead』も似た発想をしていたし、開発費が高騰している現代、この量よりも質の方向性は今後もっと増えていくかもしれないね。

開発費繋がりで話を進めると、本作はその開発費も同世代の大作ゲームと比べるとかなり小額のような気がします。但し実際の額が公表されていないのでこれは単なる憶測に過ぎないのですが、本作の力の入れどころと抜きどころを見ていると、相当戦略的な運用をしていると思いました。

その辺は視覚表現にスポットを当てて見て行くのが一番分かりやすいんじゃないでしょうか。極彩色と色面で構築された画面は、近年主流の絶対密度を増して行く絵作りとは明らかに一線を画している。ロケーションも無機質・簡素なビル群のみで、自然風景の再現と比べたらその労力は比べる必要もないでしょう。


またそれでも作りこむところはしっかり作りこんでいるところに好感が持てます。情報量は少なくても、そのロケーション選びや形状、最小限の作りこみでゲーム全体のリアリティを上手く高めている。マップの端々にあるオブジェクトも、良く見るとかなり細かく作りこまれている、もとい現実にありそうなデザイン。この辺のリアリティで、非現実的な色彩と上手く釣り合いを持たせているのではないか。


いずれにせよ、本作は他の大作とやり方は大きく違えど最終的な満足値において、タメ張れるレベルのビジュアルを獲得している。量と力よりもセンスと頭で構築する方法。本作はアンロックボーナスでコンセプトアートを見ることもできるのですが、その素早い筆致と簡素な作り込み、対する抜群な色彩感覚と画面構成が、本作の視覚表現の全てを言い表している。


ただ他にも増して僕が一番凄いと思っているのは、これをUnreal Engine 3で作ったって所なんですよ。Xbox 360の時代になってからUE3が汎用ミドルウェアとして一気に広まって行ったわけですが、それは開発費高騰への対策としてのメリットの反面、それを使って作ったゲームはどれも見た目が似たり寄ったりになってしまうという問題も引き起こしていた。まぁそれって単に作り手が努力不足なだけじゃんと思う所もあるのですが、『Mirro's Edge』はそのジンクスを見事に打ち破ったって所に、同時代的な重要性がある。寧ろお金をあまり掛けずに個性的なゲームは作れる、という事を証明するためにわざとUE3を選んだのではないかと思うくらい。

以上までは全て一番始めの「本作の製作費は小額である」という憶測が前提の話なので、違っていたら笑い話にしかならないのですが、でもそうである方がロマンを感じるなぁー、僕は。こういう事をする作品があれば、まだまだゲームは進化し続けるなと甘い幻想を抱いてしまう。

いやー、やっぱ褒めすぎかね?

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