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2009/02/08 - 環境管理型権力のアレゴリー、なのか?


クリア。残念ながら後半のチャプターで、ゲーム性やストーリーに対して評価を落とすことになってしまいました。

ゲーム性については終盤は銃撃戦の比重が大きくなってテンポが悪くなると同時に、撃たれて死ぬか逃げ切れるかはその時々というランダム性が本作には合わない。迫力を出そうとしたために安易な方法に頼ってしまったのは至極残念。


ストーリーについても同様で、物語の核心、要するにテーマそのものに踏み入る段階でそれらへの説明が十分ではなく、結局表面上の事象を並べただけで終わってしまい拍子抜け。その事象の背後にあるメタファーがいまいち伝わってこない。そして伝わってこないと、主人公を含めたランナー達の活動もワケ分からん理由で反体制運動しているプロ市民、もしくはテロ屋ととしか映ってこない。

僕なりの解釈では、本作のストーリーは環境管理型権力のアレゴリーなのかなぁと思って見ていて、 特に僕が最近色々と見て感じている事と一致する部分もあるので、ランナーという存在や活動の動機もわからんでもないのよね。 しかし彼等が問題視する監視システムが具体的にどのように人々の生活に組み込まれているのかや、その上で社会インフラはどのように機能しているのか等を掘り下げないことには、ランナーの活動の正当性を説得力あるものにしようがないわけでしょう。

本作ではただ漠然と監視という単語だけが踊っていて、それを作中で実感させるような仕掛けがない。まぁインゲームにそれらへの説明を組み込もうとなると、本作のスピード感を殺してしまうことにもなるのかもしれない。しかしそれならロード中のアニメーションがあるでしょう。ハッキリ言ってあの内容をあの表現を使ってやる必然性はあんまり感じなかったぞ。折角じっくりドラマを見せられる時間なのだから、その時位はフェイスから離れて街や一般人の様子を見せていくようなものにした方がよっぽど本作の世界観への理解に貢献すると思うんだけど。

民間警備会社の台頭、警察官でありながら現体制に批判的なミラーの存在も極めて重要なキーワードなはずなのに、いずれも説明不足。ミラーのおっちゃんなんて公式サイトのキャラクター紹介にも顔を連ねていて、どんな活躍するかとワクワクしていたのに、あれじゃあ登場し損ないもいいとこじゃないか。彼もフェイスとは別の方法で事件を調べていたようだったし、名前からしてもフェイスと対になるようなキャラクターにするはずだったんじゃないの。どうなんだよ、コラ。


そんなわけで終盤減速してしまった感が否めない『Mirror's Edge』ですが、しかししかしトータルで見たら非常に満足。好き嫌いはあるにしても丁寧に作られた良作である事には間違いないでしょう。といってもまだレースモードを完走していないので、レビューはそれを終えてから。

ちなみに本作もまた終盤はエレベーターに乗って都市を一望する演出が組み込まれていた。『Haf-Life 2』以降このような演出を用いたFPSをたまに見かける。やはり本作も他の多くの作品同様『Half-Life 2』の遺伝子が少なからずあるのだろう。



もうひとつおまけ。やっぱりあったとんでも日本語!今までオリエンタルな要素を取り入れつつもスタイリッシュに危険地帯を避けてきた『Mirror's Edge』だったが、やはり日本語を登場させたいという悪魔のささやきには勝てなかった!前者はさりげないところではあるが、意味不明なカタカナの羅列という一番やりがちな凡ミスを披露している。後者は意味は通るが船内にあるべき看板ではないと思うのだが・・・ っていうか本作の舞台って東京だったの?

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