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2009/02/26 - F.E.A.R. 2はF.E.A.R.にあらず


現在ACT6。前回の日記からこりゃダメだと思いながら渋々進めてきましたが、ここまで来てようやく良さみたいなものが見えてきた。

といってもその良さは『F.E.A.R.』が『F.E.A.R.』足りえる所以とは別次元のもの。基本的なシステムや構成が全く一緒なので『F.E.A.R.』から劣化した点ばかりが目立つちますが、そこから1歩引いて単なるクラシカルなシューティングとして見た場合は、まあまあと言える部分もあるのではと思えてきています。

その『F.E.A.R.』らしさについては後半まで来ても結局上向かなかった。賢い敵AIとの戦闘はその最たるもので、AIの柔軟性を殺ぐ一方通行なレベルデザインとプレイヤーの火力の増大によって、本作の敵は凡百のFPSと殆ど同じ瞬殺されるべき存在にしかなっていません。

なので前作から更に進化したAIとの戦闘は夢のまた夢となってしまったわけですが、しかし逆にトリガーハッピーな面白さで言ったら、寧ろこのゲームバランスが活きているとも言えるのでは無いか。本作の敵は一体が弱くなった代わりに頭数が増え、前作よりも同じ時間でより大勢と相手しなければならなくなります。正面から出てくる敵をありったけの武器で始末しなければならないわけですよ。

前半から中盤はそれでもこっちの火力が高すぎてちっとも面白くなかったのですが、後半敵の数が更に増え、こちらの被弾率も上がってくると、次第にオーソドックスなシューティングの快楽が立ち上がってきた。AIはもう殆どどうでもよくなってしまっているけど、単純な撃ち合いの面白さは決して悪くない。またその観点から見ると武器や敵の特性、展開の起伏のつけ方などのデザインは丁寧に行われており、やはり腐ってもMonolithが作ったゲームなんだなと思った次第です。

グラフィックスも後半に行くほど形状やライティングが凝ったものになり、ようやく今世代のゲームらしく見えてきました。これもやはり前作らしさとは別の魅力になってきてしまっていますが。

しかしそうは言ってもやはりダメなものはダメです。幾らトリガーハッピーでも他の部分は依然としてダメなわけで、それは弁解の余地がない。

まず難易度は相変わらず低すぎる。後半でようやく所々アーマー値が0になるシチュエーションが出てきましたが、それでも依然として鼻をほじくり傍らでマンガ読みながらでも余裕で進められます。理想なのはACT6時点の難易度と盛り上がりを前半に持ってきてしまい、そこから更に上昇させること。こうでもしないと骨のあるゲームバランスにはなりそうにない。

またホラー要素も相変わらずダメ。僕は前作もホラーとしては一切認めていないけど、一応ジャパニーズホラーを見よう見まねした可愛げだけは辛うじてあった。しかし本作ではその部分もなくなり、いよいよAlmaが単なる挙動不審者にしか見えてこなくなる。

そして一番重要なのは『F.E.A.R.』の続編としての役割を果たせているかという事ですね。例えオーソドックスなシューティングの面白さが見えてきたとしても、それは『F.E.A.R.』がやる事なのかと言ったら違うだろう。本作の面白い部分は他の作品でも出来る事だし、やはり『F.E.A.R. 2: Project Origin』には『F.E.A.R.』の続編としての責務をしっかりと果たしてほしかったです。

Monolithさんには今回の件で、コンソールに変に靡いたり媚売っても良いこと無いという事を理解してもらいたいものです。また大衆は思ったよりも賢いものだからね。安易な事しても「あ、これは露骨に流行に乗ろうとしているな」ってのは見抜かれてしまうよ。

NPCの死に様については前作よりも大幅に惨めなものになっている。
しかしこれはホラーというよりかはグロだな。


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