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2009/03/05 - 決して良い意味で使われない"普通"


こないだ『F.E.A.R. 2: Project Origin』を終えたので一応感想を書きたいと思います。しかしわざわざレビューという形にする気にならないのでここを使って簡単まとめて済ませてしまいます。

まぁ平凡なゲームだったこと。致命的な問題点があるわけでもなくどの要素も一応平均以上ではあるのですが、逆に言うと突出した点もなくてどれも横並び。決め手が欠けたままそこそこの盛り上がりで進み、そこそこな按配で終わる。実に普通。だが得てしてものの評価で"普通"という表現は決して良い意味では捉えられない。本作もその然りで、普通故に駄目なゲームでした。

ゲーム性がオーソドックスなシューティングに近づいた点は前にも書きました。これでも十分普通なのですが、それに加えて展開の盛り上がりに欠ける点もより普通に感じさせてしまう要素の1つ。

と言っても本作の盛り上がりの無さは前作の延々と続く単調さとは別物。確かに前作からの反省点で従来のような単調さは減り、ある程度進行にしたがってロケーションや武器は変化していきます。しかしその代償として賢いAIとの戦闘という一番突出した部分が失われてしまっている為、いつまでたっても本番が来ないかのような欲求不満に駆られます。

この変化は結局の所コンソールへの迎合の結果と見るのが妥当でしょう。広く浅くそこそこ盛り上げてライト層を呼び込もうという魂胆が見えみえ。しかしそれも前作からの強みをそのまま継承できているのであればまだしも、それを失ってしまっているのでは最早"ちょっと良く出来ているがコンソールで一番ありがちな没個性的ゲーム"に成り下がってしまったと言うしかない。

かといって大衆受けゲームという観点から見ても本作は中途半端で成りきれていないという印象が強い。ストーリーはやたらとちまちましているし、グラフィックスだってこれではギリギリ水準レベルだし一部はそれ以下。どうせ受けを狙うのだったらね、思い切って『Gears of War』くらいあざとく仕掛けないと駄目だよ。あの手のゲームを奨励しているわけではありませんが、迎合した上で評価されたいのであればあれくらい開き直って徹底しないと駄目ですよ。それはもう売れる為なら自らのポリシーは平気で投げ捨てる位でないと。

本作はやはり腐ってもMonolithの作ったゲームであって、所々に彼等のポリシーというか独善的な好みが反映されている部分があるんですね。ただそういうMonolithの気質とコンソール迎合という方向性が噛み合っていない。元々そういうゲームは作れない所だったんだから。

『F.E.A.R. 2: Project Origin』は一応続編を匂わせて終わりましたが、このシリーズに果たして未来はあるのでしょうか。Monolith自体は時代に埋もれるには惜しいスタジオなのでこれからも頑張って欲しいけど、残念ながら本作は駄目でした。これから遊ぼうという方は他にもゲームの候補があるならば、そちらを優先した方がいいかもしれません。本作は急いでやる程のゲームでありませんから。


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