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2009/04/02 - 進化の仕方


引き続き『Grand Theft Auto IV』をプレイ中。うーん、面白い。止め時が見つからない。飽きてきてそろそろ止めようと思うと何か新しい出来事が目の前に現れて、行きずりで進めてしまう。

要するに一種のリレーなわけだね。永遠に止む事の無いリレー。何かが終わったらすぐに新しいものを提供する。そうして興味を出来るだけ長く持続させる。それが箱庭ゲームの鉄則。それが大量消費国アメリカ。それがLiberty City!エクセレント!マジでラヴ!!


しかし、こうしてその体験を文章にする時、具体的にどこがどう面白かったのか、それを言い表すのは中々難しい。グラフィックスが美しい?言わずもがな。車の乗り心地が良い?それも勿論。メインミッションの出来が良い?確かにその通り。ダチやナオンとツルむのがイケてる?超イケてる。

とは言えこれら1つ1つは取るに足らない。それぞれ良く出来ているけど、それ専用のゲームには敵いません。幾ら車の挙動が良いと言ったって、同世代のレースゲームと比べたらその良さはせいぜい3分の1程度に過ぎない。他の要素も同様。だが1つ1つが3点程度の要素が20個も集まったら?60点になる。普通のゲームが20点満点だとすればその差は3倍です。

これが優れた箱庭ゲームや従来の『GTA』シリーズの面白さの全容だと思います。折衷主義に根ざした寄木細工。しかも『Grand Theft Auto IV』が従来のシリーズよりも更に面白いのは、実は1つ1つの要素が3点ではなく4点だったんですね。60点ではなくて80点だった。こいつはシビれる!


つまり本作の凄さってのは、現時点の印象では従来からのグレードアップなんですね。やってる事自体はあまり目新しさはない。殆どが『San Andreas』までの時点で試みとしては行われた事だし、今回新たに導入された携帯電話も、まぁ新鮮とは言え20ある要素の内の1か2に過ぎません。それよりもやはり1つ1つの要素のたった1点の底上げの累積が、作品全体の印象を格別なものにしていると言えましょう。王者に相応しい横綱相撲ですね。

一方もう1つ気になるのはこの寄木細工を繋ぎ合わせている接着剤について。これも箱庭ゲームにとって大事な事で、幾ら優れた要素を沢山用意した所で、それらを繋ぎ合わせる接着剤もまた優れたものでないと空中分解してしまう。この際接着剤の役割を果たすのが、箱庭ゲームにおける箱の部分。つまり様々な要素を一挙に収めるフィールド。本作で言えばLiberty Cityですね。

多分前作のみならず、従来の箱庭ゲームから大きく変わった所といったら、このLiberty Cityという接着剤にあると思います。それを言い表すのはこれまた難しいのですが、抽象的な言い回しに甘んじるとすると"雰囲気"。雰囲気が圧倒的に違うし、従来よりも強い一貫性を伴っています。それは現代のニューヨークの再現とでも言うのか、それに更にフィルム・ノワール的な趣を加味した感じ。兎に角雰囲気が良い。

うーん、中々良い言葉が見つからないのですが、敢えて近いものとして例を挙げると『Mafia』でしょうか。唯一近しいジャンルのゲームの中で共通性が見出せるのはあの作品。あのゲームと同じような、1つの劇の中を歩いているという感覚が『Grand Theft Auto IV』にはあります。


ただ『Mafia』と決定的に違う所は、従来のシリーズ同様の自由度を両立出来ているという点ですね。『Mafia』は雰囲気の良さを表現する為に、なるべく寄木を取り除いたデザインになっていた。そこが過去と次世代の違いでしょうね。

ただその『Mafia』は次の続編で、より『GTA』シリーズに近いデザインに舵を取るという。これら2つのシリーズは元々志向していた方向性は全く違っていましたが、お互いが進むべき道を極めようとした結果、いつの間にか同じ到達点へ合流する事になるのかもしれません。

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