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2009/06/01 - お家に帰ろう


またまたご無沙汰しております。更新再開と言っておきながら半月以上空いてしまいました。その間Pixivフェスタ用の作品を作っていて、必死こいた甲斐あって何とか28日の締め切りに間に合いました。Pixivフェスタに関しては公式の参加者発表はまだなので、それが行われ次第また詳しく取り上げる予定です。

それでこの三週間もの間全くゲームに触れられずに欲求不満が募るばかりでしたが、やっと再開する事が出来そうです。世間的にはE3が目前で老いも若きもワクワクさんかと思いますが、僕の方は地道に積んであるゲームを崩していく所から始める事にします。という事で今日からは『Silent Hill: Homecoming』と洒落込みましょう。

『Silent Hill』については今更説明する必要がない和製人気ホラーゲームのシリーズで、本作はその第5作目。兵役中の怪我で入院していた主人公のAlexは、弟のJoshuaが失踪した事を知り、病院から脱走し故郷へと向かうが、そこで様変わりした故郷の異様な姿と様々な怪奇現象に襲われるというストーリー。

今までと違い、本作はアメリカのゲームスタジオ、Double Helix Gamesへの委託開発で従来のスタッフで関わっているのは音楽の山岡晃のみ。またそれによってゲーム性やアートスタイルも変化しており、序盤を触った限りではこの変化は一長一短ではあるのものの、総合的に見ると大分チープになったと感じます。

基本的なゲームシステムは前シリーズを踏襲したアクションアドベンチャー。アドベンチャー足る謎解き要素は従来通りアイテムを拾って特定の場所で使ったり、ヒントを頼りにパズルを組み立てるようなオーソドックスなもの。現時点ではどれも簡単で謎解きと言える程のものではありません。

その中で明確な変化が感じられるのは視点と戦闘アクションの改善。今までの初代『Bio Hazard』よりだった準固定カメラアングルを完全に廃止し、ポピュラーな後方視点に変化。今までのシリーズははその難しさの大部分をあの視点独特の操作のやり辛さで作っていた部分があり、そんなの面白くも何ともなくただストレス溜まるだけだったので、この変更は評価できます。

もう一方の戦闘にもメスが入れられ、こちらも以前の準『Bio Hazard』スタイルからより今時の味付けに変化。打撃戦は相手を自動的にロックした状態で弱攻撃、強攻撃、避けのコンビネーションで戦うスタイルで、銃撃戦は肩越し視点からのフリーエイム。まぁ平たく言ってしまえば『Grand Theft Auto IV』の戦闘とほぼ一緒で違うのはカバーアクションが無い位でしょうか。こちらも今までの操作のし辛さ故の難易度の高さがなくなり、操作に惑わされずに素直に画面上の出来事に集中できるようになったのは良い。


但しそれはせいぜい落第点レベルから平均点かそのちょっと下のレベルになった位の話で、面白いかと言われるとかなり疑問。やり辛さが無くなったのは良いが今度は逆に何も特徴が無くなってしまい、どっちにしろのめり込めるものがない。序盤だからか1つ1つの出来事の間がやたらと長く、ただ歩いているだけの時間が多いのも原因でしょうか。

それでもアートワークさえよければこのゲーム性でもまだ許せるかなと思っていたのですが、そのアートワークが前作と比べてチープになっているのは致命的に不味い。と言うのも元々このシリーズ自体ゲーム性は二の次でとにかく独特の美意識によって作られた世界を楽しむ作品だと僕は思っていて、そこだけは妥協して欲しくなかったのですがまぁ何とも淡白な仕上がり。

この辺は感覚論になってくるので説明し辛い部分もあるのですが、まず分かりやすい部分から言うと単純に画面の作りこみが低下している。この点は前作とは世代が違うので単純比較では論じられないのですが、前作が発売当時のグラフィックス水準よりかなり高品質なグラフィックスを作れていたのに対し、本作は平均レベルかそれ以下に落ち込んでしまっています。

具体的には室内は密度感があってそれなりに見ごたえのあるグラフィックスなのですが、屋外に出ると途端に味気なくなってしまう。霧やノイズ表現で画面がグレー一色になっていて質感が乏しく、可視距離も極端に狭い。また影の解像度も低くジャギーが明らかに目立つ。



元々この霧やノイズ表現は元祖『Silent Hill』で、巨大な街をPS世代のマシンスペックで表現するためのアイディアだったと言われていますが(要するに霧をかければプレイヤーのそばを描画するだけで済む)、現世代ではそんな節制する必要はないわけで、幾らでもリッチに見せられたはず。01年の時点でダイナミックシャドウを実現していたシリーズの気概は本作からは感じられません。

同じようにアニメーションやキャラクターのモデリングにも前作までのような職人的な作りこみは皆無。アニメーションはそれぞれの動作の移行がぶつ切りで違和感を感じるし、人物のモデリングは皆平板でお面のよう。僕は『Silent Hill 3』の主人公のヘザーを、3Dのゲームキャラクターとしては始めて美人だと感じたくらい、このシリーズのモデリングは気に入っていただけに非常に残念。

上が03年の『Silent Hill 3』で下が08年の『Silent Hill: Homecoming』。うーん・・・

但し一般的にあまり良く言われていないクリーチャーのデザインは僕は良い方だと思います。確かにデザイナーが変わった事で、以前とはテイストが変わっていますが、それでも他の凡百のゲームとは一線を画した魅力を感じる。クリーチャーデザインは本シリーズの顔である分、アメリカのスタッフも必死に本家の水準を目指したのかな。ただそれと引き換えに、他に地味だが重要だった部分がごっそり抜け落ちてしまっている気もしますが。


更にぶち開けてしまうと、そもそも『Silent Hill』シリーズ自体、『Condemned: Criminal Origins』という精神的後継作が出てきた時点で、従来の様式を貫いているだけでは古臭いなぁと思っているという身も蓋もない話になってくるのですが、そこは単にアートワークの魅力で何とか僕の中で興味が持続していた。しかしそこが駄目って事になるとといよいよ救いようが無いのですが、これから出てくるであろう裏世界で何とか持ち直して欲しいなぁ。モチベーションが一向にあがりませんが、引き続き攻略していきましょう・・・

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