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2009/06/15 - Remember! One two punch!


引き続き『NecroVisioN』をプレイ中。Chapter 6を超えて物語は折り返し地点。最終兵器Shadow Handも手に入れ、今までのドイツ兵+ゾンビに代わって、ここからは地獄の悪魔達に立ち向かう!

最初はリアル寄りのバランスばかりに気をとられがちでしたが、操作性やコンボの要領等、アグレッシブに立ち回るコツが分かってくると俄然面白くなってくる。これは正しく古き良き時代のFPSそのものであり、尚且つそういったデザイン志向に"接近戦の誇張"という独自の解釈を交えている所が本作の魅力でしょう。

この作品にとって良くなかったのは、最初の2つのChapterがかなり特殊な内容だった事ですね。特にデモ版に収録されたChapter 2は狭い空間の中で大量の敵と戦う状況が非常に多くて、本作の特殊性が最も顕著でした。恐らく重要なポイントとなるコンボシステムに早いうちから慣れさせるためにこういうデザインにしたのでしょうが、結果を見るとそれが拒否反応を引き起こす原因になってしまっているように思います。

幸いな事にChaper 3以降はぐっと普通のFPSに近くなります。最も大きいのはスナイパーライフルが手に入る事で、これで遠距離へ攻撃する事が可能に。またそれに合わせるようにレベルデザインも広く大きいものに変わり、基本一本道なのは変わらないものの、どういった攻撃手段で進めていくかはプレイヤーの判断に任されています。遠距離から狙撃に徹底しても良いし、一気に近づいて接近戦に持ち込んでも構わない。


とは言え本作の華は依然として接近戦にある事は変わりません。そもそもスナイパーライフルは例外的に威力が高いものの、他の武器は総じて弱く、サブマシンガンなんて1クリップ撃ち尽くさないと敵一人倒せない事もしばしば。やはり銃器のみで攻めていくのはテンポが悪ければ爽快感もない。

その辺のリアル寄りなバランスについては前回書いたとおり通りですが、一方移動能力は存外に高く、特にスプリントの加速力はスポーツ系そのものです。加えて本作のコンボシステムは、打撃と異なる別の攻撃を組み合わせれば、一方がどんなに威力が低くても相手はほぼ即死するという特徴がある。

これらを組み合わせると、銃器はそれ単体で留めを刺さず2、3発だけ撃ち込んで、それに敵が怯んでいる間にスプリントで急接近して打撃を浴びせるという戦法が出来上がってきます。こうすると今までのリアル寄りでもたついた感じは一気に影を潜め、非常にスピーディーでアグレッシブなゲームへと変貌する。またこれは単なる一例に過ぎないので、他にも様々な戦法があり、それを状況に応じて使い分けていく戦術性も高い。

更にこの時の感覚は『Doom』を筆頭にした、オールドスクールのFPSに通ずる懐かしさすら感じさせてくれます。今時こういう至近距離での攻防を柱としたFPSはないからね。また同時にそれを銃撃という形ではなく、打撃を用いた接近戦とコンボシステム表現している所が、昔日のFPSの解釈或いは翻訳の仕方としてとても面白い。


但しこれはChapter 5までの話で、6以降はゲーム性が少し変わってきます。まず敵が今までのドイツ兵とそのゾンビから悪魔軍に代わり、敵の体力や攻撃も非人間的で強力なものになっていきます。逆に今までの武器や戦法は威力不足に陥って対応できなってくる。


そこで登場してくるのがShadow Handを含めた新兵器。これにより今までの打撃はShadow Handの鉤爪に取って代わり、攻撃力が大幅増加。銃器は第一次世界大戦当時のものから悪魔軍が用いるものに変わり、性能が上がって今まで弱かった中距離戦にも対応できるようになります。

しかしこれらは今までの上位版という感じですが、なんと言っても一番違うのは様々な魔法を使えるようになる事でしょう。これは敵をコンボで倒す事で溜まっていくアドレナリンゲージを消費して、火炎弾やネイルガン、死体蘇生して仲間にするなどといった事が出来るようになるもの。いずれも非常に強力で、これを効果的に扱っていく事が中盤以降の重要な戦術になってきます。


ちなみにアドレナリンはChapter 6以前からあって、バレットタイム発動に使っていました。しかしこのバレットタイム自体がスロモーションの効果が薄くて使い物にならなかったため、アドレナリン共々殆ど意味の無い要素になっていました。それが中盤に入ってやっと抜けていた部分にピースがはまった感じで、敵と戦闘も単にコンボを繋げるだけでなく、アドレナリンを溜めて強力な一撃を出す為という、必然性がより増していて良いですね。

後は全体的な印象として、東欧のFPSにしては緩急の付け方が上手い。得てして東欧圏の作品は延々と変化のない展開が続いてくものなのですが、この作品はそういう事は避けようという努力が感じられます。先のShadow Handの例が最も分かりやすい例ですが、それ以外にも全てのChapterにおいて、常に新しい武器や攻撃手段を獲得し続ける展開になっていて手持ち無沙汰になる事がない。他にもライドアーマーに乗って大量の敵を蹴散らす場面もあり、定期的にボス戦もありとサービス精神に溢れています。


ただ少し心配なのは難易度があまり高くなく、特にShadow Hand獲得以降はプレイヤーが優位過ぎる事。確かに敵もどんどんパワーアップしているのですが、コンボや武器の勝手を一度分かってしまうと、相手を上回るペースでこちらが強くなってしまう。これはコンボ使う使わないを含めたプレイスタイルにも依存しそうな気がしますが、どんな遊び方でも一定の手強さは感じたいところ。

まぁでも個人的な印象はかなり良い。クリアもせずに断言するのは本来良くない事ですが、B級ゲーム或いは東欧ゲーム好きなら決して外してはいけないゲームなのは確か。

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