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2009/12/08 - ロシアクソゲー三連発
更新滞っていて申し訳ありません。と言うのもここ最近は日記に書くほどのゲームを遊んでいなかったのですが、やりっぱなしなのも気が引けるので一種の供養としてレビューしようかと思います。しかしそれぞれ単独で書くほどのものでは到底ないので、全部まとめてご紹介。そういうわけでロシアクソゲー三連発です。尚これらのゲームは最後まで遊んだ訳ではありませんので、思い違いによる発言もあるかもしれませんがご了承を。
ロシアと言えばカジュアル化、コンソール偏重の欧米ゲーム市場に代わって、PCのコアゲームの新たなフロンティアとして注目されており、実際ここ最近は良作の出る割合も増えてきています。とは言えロシアゲームはまだまだ全体的なに見ると魔窟と呼ぶに相応しい非常に低質な作品が大半を占め、一つや二つの極めて異例的な良作に味を占めてあれこれ手を出すと痛い目に合います。そう、今回の僕みたいに。
・Instinct
2007年に発売された作品ですが、デベロッパがDigital Spray StudiosとNewtonic Studio、パブリッシャはWild
Hare EntertainmentとND Gamesと複数の会社がクレジットされていてイマイチ出自が良く分かりません。推測するに『Stalin
vs. Martians』の様に複数のスタジオによる共同企画だったのかもしれませんが、その割に内容は禄でもない所まで『Stalin vs. Martians』と被る必要は無いでしょうに。
本作の物語は2004年に起きた北朝鮮両江道で起きた爆発事故をモチーフにしており、この事故の原因がソビエト時代に北朝鮮へ委託したウイルス研究であったと確認したロシア諜報機関は、ウイルス奪還の為に現地へ特殊部隊を派遣する。北朝鮮軍の抵抗を掻い潜り研究所へ潜入すると、そこはパンデミックによるゾンビワールドと化していましたという、超が三つ付く位のお決まり過ぎる展開。
史実と絡めさせるのはアイディアとして悪くないし、複数の主人公に交互に入れ替わりながら進んでいくザッピング形式のストーリー展開や、要所では『Max
Payne』モドキのコミック風カットシーンを入れる等努力の形跡は窺えます。しかしそのどれもが下手っぴで滑っているが痛く、結局ロシアゲームにありきたりなゾンビ物という枠を超える事が出来ていません。
ストーリーがありきたりなら内容もありきたりで、一本道のステージでノソノソやってくるゾンビを倒していくだけ。特殊能力だとかいったものは一切無し。またデベロッパの一つにDigital
Spray Studiosの名がある事から、僕は『You are Empty』のような優れた雰囲気描写やアーキテクチャの作りこみを期待していたのだけれど、それらの一切が無くなっているのはどういう事だ。あまりにもレベルが違いすぎて当初これはスタジオの名前を貸しているだけで殆ど関与していなんじゃないかとも思いましたが、暫く遊ぶと異様に遅い移動スピードやダメージ前提でかけひき皆無のシューティング、そしてそれをフォローするかのように大量に設置されたMedkit等、『You
are Empty』のデザインの主に悪い部分を多く引き継いでいるので、これは紛れも無くDigital Spray Studiosの作品だと認めざるを得ませんでした・・・
余りにも平凡で特徴が無さ過ぎるが故に、本作をクソゲーと呼んでも差し支えは無いでしょう。そして驚くべき事に本作は今年の夏に何と日本でローカライズ販売されていたのです。販売元はオーバーランドという会社で、ダウンロード販売専用にて扱っている模様。何故こんな取り得の無い作品がローカライズされたのか謎ですが、一応他のロシアゲーよりかは遊ぶ為のハードルは低い。しかしここは寧ろ積極的に避けるべきです。
・Hellforces
開発はOrion Company、販売はBuka Entertaimentで2005年の作品。元特殊部隊の隊員だった主人公が、失踪した彼女を探す為新興宗教団体"Church
of the New Dawn"による暗躍により現われた地獄の悪魔達と戦っていくというストーリー。
作品を構築する雰囲気は今回取り上げた三作品の中で一番良い。もっともそれはロシア的なオリエンタリズムというよりかは、欧米の古き良きFPSのダークホラーにより近いと言えるでしょう。武器の量がやたらと多かったり、ゲーム中常にハードロックが流れていたり、地獄の悪魔が云々なんて正に昔の様式美。きっと古参のゲーマーならば色々と琴線に触れるものもあるはず。
ただ良いのはそこだけで所詮はロシアのB級作品。質そのものは高いとは言えず、ゾンビとの戦闘は張り合いに欠けるし、人間との戦闘は逆に相手の射撃が正確過ぎて理不尽に難しく、せこい戦い方に終始しがちになって爽快感に欠ける。懐古趣味だけで遊び通すのは流石に辛い。それだったら素直に昔のゲームを発掘すれば良いって事になりますし。
それと本作にもやはりゾンビが登場。何故ロシア人達はここまで徹底してゾンビに拘るのか、何故その呪縛から逃れられないのか。こういうB級ならばまだしもあの傑作『S.T.A.L.K.E.R.:
Shadow of Chernobyl』や『Cryostasis』でさえ、それをチェルノブイリや難破船の残留思念に絡めた着眼点が良かったものの、根本的な部分は他と同一のゾンビ感に端を発しています。何か東欧の人々には民族的に共有する価値観として、ゾンビ的な価値観か或いはそういう表現をせざるを得なくしている何かがあるのでしょうか。それはそれでとても興味深い。ただ確かに興味深いけれども、ゲームという場で捻り無くそれを扱うのは流石にマンネリ過ぎるでいい加減工夫も知って欲しい。
・Operation Matriarchy
今回の中で一番の問題作。開発はMADIA Entertainment、販売はBuka Entertaimentで2005年の作品。舞台は未来の宇宙のVelianという惑星で、そこで暮らしていた女性達が未知のウイルスによって別種の生命体に変態し、この惑星の近辺を通行する宇宙船を攻撃するという事態に陥っていた。プレイヤーは事態の究明の為にVelianに向かった軍の一員で、移動中に敵からの襲撃を受けて船内のコールドスリープから目覚める所から始まる。
と書けばちょっとヘンテコなストーリーで面白そうと思うかもしれませんし、僕もそう思ったんですがそれが落とし穴。FPSとしての質は限りなく低く、適当なマップデザインに同じく適当に配置された敵、駆け引き皆無の適当なシューティング、迫力がまるでない適当なサウンド。正直この完成度は例えこれが何かのMOD作品だったとしても即効アンインストールされる位の酷さで、これが商業作品として曲がりなりにも市場に出回り、そしてそれにお金を払って手に入れてしまった自分に驚愕した。
また数々の酷い要素の中でも、特にヤバイのが敵エイリアンのデザイン。『Alien』を手掛けたHans Ruedi Gigerの様式から影響を受けている事はパッと見ですぐに分かりますが、出来上がっているものは比較にならない位劣悪。そのセンスの無さは『Stalin
vs. Martians』に通ずるものがありますが、あちらはギャグとして開き直っていたのでこちらも馬鹿にして済ませられましたが、こちらはマジでそれをやっているところに更なる狂気を感じます。
この作品については最早これ以上語るまい。一連の内容を映像にまとめましたので、後はそこから各々感じ取って欲しい。
最後に総括すると、これら三本に対して共通して言えることはFPSとしての基本構造、つまり敵を撃って倒して逆にこちらはやられないようにするという最も原初的な駆け引きを描けていないという点にあります。敵が超反応で避ける余裕が無かったり、そもそも避けさせる事すら考慮せずに、始めからダメージ前提でその分MedkitやArmorを大量に配置してお茶を濁すというパターンが、いずれの作品にも当てはまる。
こういった基本的な事が描けないのはゲームをデザインするという行為そのものに対しての否定というかある意味で裏切りのようなもので、幾ら枝葉の部分を取り繕ったってその中身の無さを隠す事は出来ません。その点に於いてこれら三作品は、個々の微妙な違いこそあれど共通してクソゲーであると言えると思います。
それを思うとあれこれ悪く言われる今日の欧米のゲームの如何に親切で基本がしっかりしている事か。勿論本当に良いと呼べる作品は少ないわけですけれども、それでも安定しているという事はそれだけで有り難い事なのだなと、今回のクソゲー三連発を食らってしみじみと思ったのでした。
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