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Robo Logic
販売: Tommy Kammerer - 2009
プラットフォーム: iPhone & iPod Touch
価格: ¥350




■お手軽プログラミング・パズルゲーム

『RoboLogic』はプログラミングを題材としたパズルゲームだ。

ルールは簡単。フィールド上にはロボットと障害物、そしてオレンジ色のタイルがあり、プレイヤーはロボットに様々なタスクをプログラムする事で上手く障害物を突破し、オレンジのタイルを発光させなければいけない。フィールド上のオレンジのタイルを全て発光させる事ができればステージクリアだ。

 

プレイヤーには12マスのメインメモリに、6マスずつのサブファンクションが2つ与えられる。その中で前身、左右旋回、ジャンプ、発光、それぞれのサブファンクションへのショートカットを組みあわせて、ロボットを上手く動かしていくのである。

実はこのゲームはステージクリア自体はそう難しい事ではない。全部で24あるメモリの中で愚直に命令を書き加えていくだけでも、クリアだけならさほど問題ないだろう。本作におけるパズル要素は、クリア自体よりも如何に少ない工程数でクリアするかという、プログラムの最適化にこそある。

そこで面白い要素となってくるのが2つサブファンクションだ。これらにはメインメモリとは独立した動作をプログラミングする事が出来、それぞれに対応したショートカットをメインメモリに書き込むことで、動作をサブルーチン化する事が出来るのだ。これを駆使してロボットの動作を出来る限り限定化し、メインメモリに書き込む量を出来る限り抑えてクリアまで導いていくのが面白く、また奥が深い。

クリアするとそこで使用したメモリ数に応じて点数がつけられ、それらを合わせた総合点でランキング付けされる。しかしこのランキングはローカル保存限定なのが残念な所である。ここでオンラインランキングに対応して、他人の点数やプログラムを見ることが出来れば更に良かったのだが。


またインターフェイスにも若干の不便を感じる。それぞれのタスクは指でドラッグ&ドロップする事で書き込んでいくのだが、1つずつしか選択できないのだ。それだと例えば連続したプログラムの間に何か1つ書き加えたい場合には、1つずつ全部1マス分ずらさなければいけないのだ。試行錯誤にプレイ時間の大半を費やすこのゲームにおいて、この柔軟性に欠けた操作性は結構煩わしい。

ステージ数は現バージョン(1.1.1)で5マップで1ステージ×5で計25マップありボリュームは十分。やや地味で、インターフェイスやランキングシステムにも不満はあるが、芯は良く出来ており、手軽さと奥深さを程よく両立できている佳作である。




TETRIS
販売: Electronic Arts - 2008
プラットフォーム: iPhone & iPod Touch
価格: ¥600



■iPhoneで『TETRIS』を完全再現 ただしオリジナル要素は蛇足

皆さんご存知、落ちものパズルの元祖にして金字塔、『TETRIS』のiPhone版。『TETRIS』自体については今更解説する必要性は皆無であろう。ここではiPhoneのゲームにとって難題である独特のインターフェイスに対する本作の取り組みを中心的に語りたい。

iPhoneといえば全面タッチスクリーンに加速度センサーという斬新なインターフェイスを採用しているのは広く知られている事であるはずだが、しかしそれに合わせてゲームを作るとなると一筋縄では行かない。特に既存のゲームをiPhoneで再現するのは非常に難しく、これまでにも擬似十字キーを画面に表示させるとかいった対応が取られているが、それらの成功例は少ない。。

『TETRIS』においてもそれは例外ではなく、序盤のブロックの速度が遅い段階ならまだしも、後半の目にも留まら落下速度の中でゲームを成立させるには、相当洗練された操作性が必要となるのだ。

結論から言ってしまうと、本作EA版『TETRIS』はこの高いハードルをタッチ操作だけで越える事に成功している。特に秀逸なのが落下しているブロックに触れずとも、画面上どこをタッチしてもそのブロックを操作できるという点だ。

何を言っているか分からないと思うので順を追って説明しよう。本作では画面全体が大きな十字キーになっていると思えば良い。落下しているブロックが何処にあろうとも、画面上で指を左から右へスライドすればブロックも右に移動し、逆をすれば左に移動する。画面右をタップすれば時計回りに回転し、左なら反時計回り。指を下にスライドさせれば落下スピードを速められ、フリック(指をはじくように素早くスライドさせる事)すれば即着地させる事ができる。

 

中々言葉で表し辛いのだが、要は基本的に指の左右上下の運動だけで操作できるので、直感的で分かりやすく、尚且つ狂いがないのだ。精密な操作が苦手なiPhoneでも、流石に画面全体がそのまま操作領域になれば、大分精密にブロックをコントロールする事が出来る。勿論若干の慣れは必要だが、それも2,3回通してやれば最高落下速度のレベル15も十分ついていける。見事な操作性だ。

ゲームモードは2つ用意されており、1つがマラソンと呼ばれる最もスタンダードなルール。10ライン消す毎にレベルが1つずつ上がっていき、それに合わせて落下速度も上がっていく。『TETRIS』の全てが詰まったモードと言えるだろう。

対するもう1つのマジックと呼ばれるiPhone版オリジナルのモードは、レベルが段階的に上がっていく所は一緒だが、レベルアップに必要なライン数が毎回違い、レベルが上がると何も積んでない状態からの再スタートとなる。そして一番の違いは5つの特殊能力が使える事で、ラインを消す度にゲージが溜まっていき、それを消費する事でそれぞれの能力を発動し、戦局を有利に進める事が出来る。

特殊能力は落下しているブロックを1マスのブロックに変えるもの、積まれたブロックを特定の条件で消すものなど様々で、それぞれの発動にはiPhoneを振ったりピンチアウトしたりとiPhone独自のインターフェイスを利用した操作が必要になる。

しかしこれが曲者で、操作性がブロックのコントロール程洗練されていないため誤動作が多く、そして何よりも面白くないのである。完成されきった『TETRIS』には付け入る余地がなく、どんな要素を追加しても蛇足にしかならないのだ。

そもそもこのオリジナルモードはバランス調整がいい加減で、ゲージがやたらと早く溜まるので、特に後半は特殊能力を連発しているだけでクリアできてしまう。何だか思いつきをそのまま入れてみましたって感じで洗練さに欠ける。やる意味が殆ど感じられないモードである。


その他の作りこみはEAらしい手堅さが際立っており、ビジュアルデザイン良し、サウンド良しと隙がない。BGMは独自に用意されているが、勿論iPhoneに入ってあるお気に入りの音楽をかけながらでもプレイが可能だ。

マジックモードのいい加減さに目を瞑れば、最大の問題である操作性の障害も克服できていてクオリティは高い。iPhone上で完全再現された『TETRIS』を、思う存分楽しむ事ができるだろう。




Silent Hill The Escape
販売: Konami Digital Entertainment - 2008
プラットフォーム: iPhone & iPod Touch
価格: ¥800




■安易なキャラゲー 

人気ホラーゲーム『Silent Hill』シリーズのiPhone版。本作はオリジナルとは違い、主観視点のダンジョンゲームとなっている。

ルールは敵を避けたり戦いながら出口を開ける鍵を探し、手に入れ次第同じ手順で出口を探すのが目的。『Silent Hill』らしい見た目を除けば、基本は極々普通のダンジョンゲームである。操作は指を前後左右へスライドしてそれぞれ前進、後退、左右旋回。加速度センサーによるiPhone本体の傾けで上下左右の視点移動。画面中央の照準をタップして銃撃となっている。

ビジュアルはお決まりの『Silent Hill』様式。不気味な環境音や敵が近づいてくると大きくなるノイズの音もそのままだ。それ以外の本作の『Silent Hill』らしい所は有限の懐中電灯がある事だろう。これはほっとくと徐々に暗くなっていき消えてしまうので、プレイヤーは絶えず歩き回っては電池を見つけて補充する必要がある。

ダンジョンの構造は固定だが、敵は絶えず動き回っていてどこで出会うか予想は難しい。出会った時は相手の動きが鈍いため正面からの対峙は全く問題なく始末する事ができるが、曲がり角で不意に目前に現れたり、T字路や十字路で自分の視野外から突かれると成す術がなく、そこが本作のホラーと緊張感を演出していると言えるだろう。

 

但しそう思えるのも始めの内だけで、一旦引き際を理解してしまえば怖い物はなくなり、途端に簡単且つ作業臭さしか感じないゲームになってしまう。

マップが見た目も構造も単調極まりないのもそう感じさせる原因だろう。SSを見る分には良いが、1ステージ全く代わり映えなくこの狭い通路のみが延々と続くのではたまらない。マップの構造は各ステージごと固定なのだから、ゲームシステム上構造自体に変化をつけるのが難しくても、せめて見た目ぐらいはもっとマシにできたんじゃないか。また見た目がずっと一緒な為、不当に道に迷わされるのも良くない。

iPhoneゲームにとってネックとなる操作性は悪くない。が、これは操作性が優れているというよりも、iPhoneのインターフェイスのアバウトさでも無理がないレベルにまで、ゲーム内容自体の程度を下げていると言った方が正しい。それくらい簡単で中身が無いのだ。

ステージクリア毎に成績が表示されるが、元々難易度が低い上、2周目以降はルートも分かりきってしまっているので、単調な見た目に惑わされなければ、高成績を取るのはわざわざ挑戦する程難しい事ではない。


ステージは全部で10個あるが、その気になれば1時間も掛からずクリアできてしまうだろう。リプレイする程の深みもなく、『Silent Hill』という箔が付いているだけで、中身は空っぽの安易なキャラゲーである。


2009/03/23
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